工事のきっかけはこうです!
足立区千住に、大きな工場を持つ、工場管理会社さまから、お問合せがありました。「築25年経過している工場の、屋根が雨漏りしてしまい、大変困っている」とのご相談でした。
屋根材は、波型スレート材を使用しています。以前にも所々から、雨漏りが発生したことがあり、その度に自社で修理をしていたそうです。ですが、工事のプロが修理していたわけでもないので、次第に雨漏りの被害も大きくなってきたそうです。
この際に、プロの工事業者に依頼して、雨漏りの原因をみつけ、対策を講じる決心をされました。工場の機械を稼働しながらの、屋根工事となりますので、細かく予定を組み、工程通りに工事を進めてくれる業者を、探していたそうです。でもお客様が立てた予定を重視して、工事を進めてくれそうな業者は、見つからなかったそうです。
いくつかの業者に調査をご依頼された後、調査の姿勢が誠実なことを理由に、私達サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス)に、工事をご依頼されました。
目 次
ビフォー、アフター
さっそく現地調査に伺いました!
足立区千住にある、築25年経過している鉄筋構造の大きな工場でした。
スレート屋根は、色褪せが進み、苔が繁殖していました。塗膜が劣化し、防水性が失われ屋根自体が水分を吸収してしまっている可能性があります。それは、雨漏りの原因に繋がりますので、メンテナンスのタイミングと考えられます。
こちらのように、工場や大型倉庫の場合は、このまま放置しておきますと、雨水が建物内の機械や資材を傷めるということも、考えられます。そうすると、尚さら被害は深刻になりかねません。
もしご自身で点検をされる場合は、100%安全だと言い切れるような、点検をしましょう。屋根の上は、細心の注意を払って上がらなければ、危険な場所だからです。安易に屋根に上がってしまったせいで、逆に屋根を傷めてしまう事にもなりかねません。
波型スレート(大波スレート)は、劣化が進んでいました
工場の管理担当者が、何度も修理を試しましたが、雨漏りの場所が所々に点在していた為に、何が原因かが解らない状況でした。
波型スレートは、セメントと繊維を成形して作られた、波型の板状の建材です。大きな鉄筋構造物の屋根などに多く設置してある、簡易的な屋根材です。
以前は、繊維にアスベスト(石綿)が使用されており、問題視されてしまった屋根材です。
現行型の波型スレートは、ノンアスベストです。アスベストの代替品として、グラスウールやロックウール(岩綿)が使用されており、身体への悪影響は極めて低いとされています。
波型スレートのメリットは、対応年数が長く、防火・耐火構造をしていること、遮音性に優れており、雨の日も静かなこと、価格も比較的安価なこと等が挙げられます。大きな建物の工場、倉庫などに多く使用されていました。
しかし、スレートを固定する工程では、ボルトなどの金属類で止め付けるために、これが錆びて劣化することが重要な問題です。
ボルトが劣化すると、台風や強風などの悪天候時に、屋根材が、飛散する原因に繋がります。
ボルトの周りの、シーリング材が劣化すると、その部分から雨水が浸入し、雨漏りが発生する原因になります。古い工場や倉庫では、よく起こっている問題です。
屋根材自体に、ヒビ割れが生じると、そこから直接雨漏りが発生してしまいます。しかし、雨漏りが生じる波型スレートのみを、部分的に張り替えることができる屋根材の為、未だに根強く残っている屋根建材です。
工事開始、先ずは重機で煙突を撤去!
この度のような、工場の屋根工事では、工事ができる日程が、非常に限られてきます。
工場が稼働している日には、屋根工事ができません。波型スレートで雨漏りがしている場所が、真下に大きな機械がある場合は、落下物に細心の注意が必要です。
また天候が不安定な日ですと、予定を組んでいても工事は、中止になってしまいます。
さらにもう一つの問題として、機械真上の煙突がある場所に、雨漏りが有り、一時的に煙突を撤去しないと修理ができない状況でした。
重機レッカーを入れて、先ずは波型スレートと共に煙突を撤去しました。
屋根張替え、工事の工程
工場の屋根工事は、高所での作業が多いことから、安全を徹底的に確保する必要性があります。
波板スレートは、セメントと繊維を成形して、製造されています。厚みはわずか6~7㎜しかありません。
屋根材は、建物の天井の桟にボルトで固定されています。桟のある部分以外の場所に、人が乗っただけでも、割れて下に落下してしまう危険性があります。劣化した波型スレートの場合は、なお更注意が必要です。
現在の波型スレートには、アスベストは含まれておりません。その代わりにロックウールやグラスウールといった繊維が合成されているため、強度は落ちてしまいます。
この度の工事では、劣化した波型スレートだけを張り替えます。
屋根材の重なり合う部分の両端をカットし、上の屋根材と下の屋根材が重なったときに、隙間が無いように加工します。隙間があると、そこから雨水が染み込み、やがて雨漏りの原因になります。
工事進行状況、ボルトで固定します
波型スレートは、建物の鋼材であるCチャンネルに、フックボルトで固定します。
このときに、工具で締め付けすぎてしまうと、屋根材が割れる可能性があります。
その為、手動でボルトを固定します。ボルトには、ゴムがついており、圧着により雨水が侵入しないように作られています。
工事が完成しました
屋根煙突周辺の、既存波型スレートを交換し、雨漏りを防止する工事を行いました。
通常、波型スレートは、コーキング材を入れなくてもよい屋根材なのですが、25年前の建設当時の波型スレートは、現在の物と比べると、規格に数ミリの差があります。
その為、重なる部分に雨水の侵入を防ぐ、コーキングを打ちます。
この度の工事で使用したコーキングは、セメダイン製の油性コーキングポリコークです。外側が硬化しても、内部は柔軟性を保ち続けるという特徴があり、したがって揺れにも強い為、剥がれる可能性が少なくて済みます。
雨漏りが発生した煙突の箇所を含む、その他のすべての雨漏りの場所の工事が、終了しました。
工場のラインを妨害することなく、工事を完成させることができた要因は、事前の打ち合わせ時に、予定を念入りに練った事によるものです。
打ち合わせの重要さが、身に染みて解った工事となりました。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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