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ベランダやバルコニー防水工事の工程を解説!定期的なメンテナンスで大切な家を守りましょう




ご自宅を雨漏りから守るためには、ベランダやバルコニーの防水工事も大事だとご存じですか?


室内や外壁など普段よく目にする場所は、ちょっとした不具合でもすぐに気がつきますが、ベランダやバルコニーの場合はなかなか気づきにくいもの。


実はベランダやバルコニーは、常に紫外線や雨風にさらされている場所なので、定期的なメンテナンスを行って機能を維持する必要があるのです。


外壁や屋根と同じですね。


劣化や不具合をそのままにせず、気になる点があればできるだけ早く適切に対処すると、住宅の耐久性・資産価値維持につながります。


今回は、ベランダやバルコニーの防水工事の重要性と工程について解説します。


目 次


ベランダ・バルコニー・屋上がある現代建築こそ防水工事が必要!


ご自宅を建てた後、外壁の汚れや傷みには気を配るものの、ベランダやバルコニーの状態まで

はあまり気が回らず、メンテナンスの盲点になりがちです。


洗濯物を干したり、季節の花を植えたプランターや子ども用のプールを置いたり、普段さまざまな用途でベランダやバルコニーを使うと思います。


使用頻度が高い場所なのに、ベランダやバルコニーを隅々まで見渡して状態をチェックすることはあまりしませんよね。

小さなヒビや水はけがよくない部分があったとしても、それほど問題に感じないかもしれません。



しかし、ベランダやバルコニーの機能を維持するには、防水工事が必要です!




ベランダやバルコニーの劣化をそのままにしておくと、雨漏りや内部への漏水の原因になることもあるのです。


特に最近は、屋上があったり広いベランダ・バルコニーを設けている住宅が多いので、築年数が浅いからと言って劣化を放置しないようにしましょう。


昔ながらの日本家屋は、屋根の傾斜を利用して雨水がスムーズに下に流れ落ちる構造になっています。


しかし、現代的なお住まいで屋根に傾斜がない場合は、雨水が下に流れずベランダやバルコニーに溜まりやすいです。


現代的なお住まいこそ防水工事が大切!

定期的なメンテナンスが必要なのは、老朽化が進んだ住宅だけではないのです。



防水工事を施して雨漏りを防ぐ必要がある場所


現代的なお住まいでは、次のような場所で防水工事が必要になります。


陸屋根(平らな屋根)

陸屋根(平らな屋根)は、勾配がほとんどゼロの状態です。


屋上を設けている場合もあり、さまざまな用途に活かせるので人気がありますが、三角屋根に比べると排水面の性能は低くなります。


床面に水が溜まりやすいので、雨漏りの原因にならないように防水工事が大事な場所です。


ベランダやバルコニーの床


ベランダやバルコニーも床面にほぼ勾配がない場所です。


手すり壁の内側は日が当たりにくいので、雨水が降り込んで床面に水が溜まってしまうとなかなか乾きません。

ベランダやバルコニーが広いほど用途が増えて助かる反面、雨漏りのリスクに備える必要があります。


太陽光発電を設置した屋根

陸屋根・勾配のある屋根に関わらず、太陽光発電を設置している住宅が増えてきました。


しかし、太陽光発電を設置する業者は住宅に関するプロではないので、屋根の構造や防水について詳しくありません。


設置する際に屋根を傷つけて雨漏りを引き起こしてしまうケースも多く、防水工事のご相談をいただくことがあります。








排水性は屋根の勾配によって変わる


雨が降った後の排水性は、屋根の勾配によって変わります。


茅葺き合掌造りの住宅は、植物を材料にして屋根を作るので、雨水が染み込んでくれます。

また、屋根の勾配を急にしておくことで、屋根を伝って雨水が下に流れ排水性が高くなります。


現代の三角屋根の住宅は、合掌造りの住宅に比べると屋根の勾配は緩やかです。

屋根材によっても最小勾配が定められています。


陸屋根の住宅は、排水のための勾配が設けられていますが、ほぼゼロに近いです。


経年劣化を見越したメンテナンスが必要


竣工時にしっかりとベランダやバルコニーの防水加工を施していても、年数がたつにつれて劣化するのは避けられません。


劣化した塗膜を放置すると、ひび割れを起こしてしまいます。

また、防水専用のシートを敷き詰めてあっても、劣化してシートが破れてしまう場合もあります。


雨漏りの原因を作らないためにも、ベランダやバルコニーのメンテナンスにも気を配りましょう。


雨漏り・漏水の原因と場所は特定できる?




雨漏りや漏水に気づいたら、すぐに専門家に相談することをお勧めします。


雨漏りには、いろいろな原因が考えられます。


雨漏りしている部分だけを見て、原因や発生箇所を特定するのは簡単ではないのです。


専門家の力を借りると、慎重に調べた上で適切な処置をしてくれるので安心できます。





防水方法の種類と劣化状態


用途に合わせてさまざまな防水方法がありますが、劣化した状態は似ています。

次のような状態が見られたら、要注意です。


排水不良による腐食・劣化

水が上手く排水せず溜まってしまうと、建物の内部に漏れ出して雨漏りや腐食、劣化を起こす原因になる場合もあります。


防水シートが弱まる

表面だけ見ると変わったところがなくても、踏んでみると変形することも。

シートが波打っていたり少し浮いて見えたりする場合は、下にある防水シートが弱まっています。


ひび割れや裂け目

防水シートや防水層にひび割れや裂け目ができると、雨水が侵入する原因を作ってしまいます。


植物の芽や根

植物の繁殖力は強いので、コンクリートを破壊してその隙間から芽や根が伸びる場合があります。防水層だけでなく、建物全体の構造にも関わってくるので注意が必要です。

色褪せ

防水層の表面が色褪せてきたら、保護機能が弱まってきたサインです。

放置すると、防水層に直接紫外線が当たり、さらに劣化が進んでしまいます。


放水シートの傷

長年の歩行や風雨で摩耗したり、台風時の飛来物などが原因で生じた傷が、防水シートまで及んでいるケースも注意しましょう。


傷の大きさや深さによって、適切な補修が必要です。


ベランダやバルコニーの防水工事は、次のような工程で行います。

FRP防水と、ウレタン防水による通気緩衝工法についてご紹介します。


ベランダへのFRP防水の施工の流れ


ベランダ下の部屋の雨漏りでご相談をいただいたケースを例に説明します。

まず、ベランダ下の室内の様子を見せていただき状況確認をしたところ、雨染みが大きくできていました。


ベランダに原因があるらしく、人工芝を移動させていただき、入念にベランダの状態をチェックします。


ベランダにはシート防水が行われているものの、経年劣化で穴が開いて裂けている部分が見られました。

シートの穴や裂けた部分が雨水の侵入口になっているようです。


これまでの防水層を撤去して、一から作り直すことになりました。




まず、これまでの防水層をすべて撤去します。

シート防水では、シート自体が防水層になっていて、その上にトップコートを塗布して劣化を防いでいます。


すべて撤去してみると、下地にも穴が開いた部分を発見。

表面を見ただけでは気づかない部分が作業途中でみつかることはよくあります。


この穴からも雨水が入り込んでいたようです。


次に行うのは、構造用合板による重要な下地作りです。

寸法通りにカットした構造用合板をベランダに敷き詰めて、頑丈な防水層を作ります。


防水性を強化するために、立ち上がり部分にも合板を敷き詰め、さらに垂直の内角部分に面木を入れます。


下地の構造用合板の継ぎ目の隙間をなくすように、シーリングを施し、さらにプライマ―を塗布。

下地とガラスマット、ポリエステル樹脂の密着性を高めるためです。


プライマーを塗布したら、ガラスマットを全面に敷き、立ち上がり部分にもしっかりと密着させます。


ガラスマットの上にポリエステル樹脂を染み込ませて、防水層を形成していきます。


気泡が入らないように細心の注意を払いながら、丁寧に作業を行います。

ポリエステル樹脂を浸透させる途中で気泡が入ってしまうと、強度が落ちてしまうためです。


FRPの防水層を厚く頑健にするために、トナー入りのポリエステル樹脂を塗布して、さらに表面を滑らかにしていきます。


人が歩くことを考慮して、防水層を保護するためのトップコートを数回に分けて塗布します。


仕上げに排水口カバーを取り付けて、FRP防水工事は完了です。



ウレタン防水による通気緩衝工法(アパートや小規模ビルの屋上向け)


もともと敷いてあったシートと、固定のために置かれたブロック・ロープを撤去します。

溜まっていた泥などもきれいに取り除きます。


きれいになったら、床面と立ち上がりに高圧洗浄を行い、隅々まで汚れを落とします。



万全な防水工事をするために、継ぎ目に充填されていた目地材を取り除き、モルタルで下地を整えます。

バックアップ材を目地に挿入し、コーキング材を充填して平らにならして下地をしっかり補修します。


改修用ドレンを設置するときは、雨水を流しやすいように排水口を元の位置から微調整し、さらに

湿気を逃すための通気緩衝シートを貼り付けます。


湿気を逃すための脱気筒を設置した後、ウレタン防水の1層目を塗布します。

脱気筒は、通気緩衝工法で最も重要ポイントで、防水層下の水蒸気を逃がす役目を持っています。


ウレタン防水は、継ぎ目ができないように塗布することが重要で、スピード且つ正確な作業が必要です。


床面が終わったら、立ち上がり部分の目地やクラック補修など下地処理をします。

その後。床面と立ち上がりに、それぞれウレタン防水を行います。


最低でも2回以上塗布することで、しっかりした防水層にすることができます。



さらに上からトップコートを施して、通気緩衝工法のウレタン防水工事は完了です。


弊社スタッフが点検と確認をした後で、お客様と一緒に最終点検・確認を行います。



さいごに

今回は、ベランダやバルコニーの防水工事の重要性と、防水工事の流れについて解説しました。


築年数が浅くても、ベランダやバルコニーの床面に傷みや劣化が見られる場合は、早めの処置が必要です。


雨漏りや漏水から家を守り、資産価値を維持するためにも、気になる点を見つけたらお気軽にご相談ください。


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「著者情報」

 関裕一 

東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット

​サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者

18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。

​塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。

お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。

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