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カラーベスト・コロニアルってどんな屋根?特徴とメンテナンス方法・費用を詳しく解説!



「家を建ててしばらく経ったし、屋根の状態をチェックしようかな…」

そう思って業者に点検をしてもらったものの、屋根に詳しいわけでもないし、出てきた専門用語が分からない…と戸惑ってはいませんか?


屋根の素材も、よく耳にする「スレート」だと思っていたけど、「カラーベスト」「コロニアル」という記載がある…

もしかして自分の家はスレート屋根ではないのかな??と疑問に思いますよね。


「スレート」「カラーベスト」「コロニアル」

実は、この3つはすべて同じものなんです。


この記事では、カラーベスト・コロニアルについて、

・特徴

・メンテナンス時期の目安

・メンテナンス方法

・メンテナンスにかかる費用

を解説していきます。


カラーベスト・コロニアルについての基礎知識をまとめた内容となっておりますので、ご自宅の屋根材が該当する方は、ぜひ参考にしていただければと思います。


特徴や正しいメンテナンス方法を知り、大切なご自宅の屋根を守っていきましょう。


目 次



1 カラーベスト・コロニアルの特徴

まず、カラーベスト・コロニアルとはどういった屋根なのか見ていきましょう。


1 スレート=カラーベスト・コロニアル

セメントに繊維材料などを混ぜて作られている「スレート(住宅屋根用化粧スレート)」。

日本の約80%の住宅で使用されているため、名前を聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。


それに対して聞き馴染みのないカラーベスト・コロニアルですが、実は、この2つは屋根材の製造会社「株式会社ケイミュー」が販売するスレート屋根材の商品名のひとつです。

画像にまとめると、以下のようになります。

住宅屋根用スレートを製造するケイミュー社の製品のひとつに「カラーベスト」というラインナップが存在し、「カラーベスト」の中に「コロニアル」という商品がある、ということです。


・スレート

セメントに繊維素材を混ぜて薄い板状に加工した屋根材の総称。一般名称。

・カラーベスト

ケイミュー社が製造している平形スレートの商品群の名称

・コロニアル

ケイミュー社が製造しているカラーベストの各商品名


ということですね。


下の2枚の写真でもわかるように、見た目にも差はなく、同じものだということがわかります。


ちなみに、現在、一般住宅用のスレート屋根のほとんどはケイミュー社製です。

元々は、カラーベストもコロニアルも、ケイミュー社の前身であるクボタ社の商品でしたが、松下電工(現:パナソニック株式会社)と合併し社名を「ケイミュー」と変えた今も変わらず同じ名称が使われています。


ご自宅の図面を見て、カラーベスト・コロニアルという記載があると「あれ?」と思われるかもしれませんが、スレート屋根のことですので、安心してくださいね。



2 カラーベスト・コロニアルの特徴

カラーベスト・コロニアルの主な特徴は以下の3点です。

・費用が安い

・軽い素材のため減震効果がある

・カラーバリエーションが豊富


また、工事期間も短く、普及率が高いことから、施工できる業者が多いのもメリットです。

軽量であることから、太陽光発電の設置にも適しています。


①費用が安い

カラーベスト・コロニアルは和瓦(日本瓦)やガルバリウム鋼板と比べると、屋根材の価格・メンテナンス費用が安価です。

新築時や屋根リフォームをするときに費用を抑えることができます。


②軽い素材のため、減震効果がある

カラーベスト・コロニアルは薄くて軽いため、和瓦などに比べて住宅への負担が少なく耐震性に優れています。

屋根が軽いことで、建物にかかる負担を少なくし、地震が起きたときには住宅の揺れを抑えることができます。


③カラーバリエーションが豊富

カラーベスト・コロニアルは黒・ブラウンといった定番色から、緑や青といったカラーまで、多様な製品が販売されています。

複数の色を組み合わせたミックスカラーもあり、屋根を自分の理想のカラーリングに仕上げることができます。


2 耐用年数とメンテナンスが必要な症状チェック

カラーベスト・コロニアルは、和瓦(日本瓦)やガルバリウム鋼板と比べると、耐用年数は長くありません。

そのため、定期的なメンテナンスが重要になります。

屋根がどのような状態になったらメンテナンスをするべきか、確認していきましょう。



1 耐用年数について

カラーベスト・コロニアルの耐用年数は、約20年です。

屋根は直接太陽光や雨風を受けるので、紫外線による劣化、コケ・カビの発生といった経年劣化が必ず起こります。

塗膜がどんどん剥がれてしまい、屋根を保護することができなくなってしまうのです。


そのため、10年に1度は塗り直しをすることをおすすめします。


「雨漏りしていないから、特にトラブルがないからメンテナンスはしなくて大丈夫!」と思っているのは危険です。

実際に点検してみると、塗装が剥がれていた、ひび割れがあった、ということが多く見られます。

大きく破損している場合には、塗装だけで補修することができず、結果的に高額なリフォームが必要になってしまう可能性もあります。



※塗装NG?「コロニアルNEO」とは?

コロニアルNEOとは、現ケイミュー株式会社(旧・クボタ)が2001年に発売した屋根材です。

当時アスベスト(石綿)による人体への影響が社会的な問題となっていたため、この「コロニアルNEO」はノンアスベストの屋根材として開発されました。

しかし、築10年ほどでひび割れ・欠けなどが発生し、耐久性に問題があることが報告されました。

劣化症状が激しいと、塗装では補修できず、新しい屋根を被せるカバー工事や葺き替え工事を行うことがほとんどです。


こちらの写真は、築17年、塗装後5年のコロニアルNEOの屋根です。

塗装をしたにもかかわらず、大きくひび割れしているのがわかります。

ちなみに、アスベスト入りの屋根材は2006年にすべて販売・製造が中止されています。

たとえアスベストを含む屋根材でも、目の前で解体や破砕をしない限り健康被害はありません。

「アスベストが入っているから住んでいるのが危険!」ということはないので、安心してくださいね。



2 メンテナンスが必要な5つの劣化症状

屋根のメンテナンスが必要となる症状を5つ紹介していきます。

塗装は10年に1度が目安ではありますが、天候や立地によって劣化の進行具合は大きく変わります。

5つのうち1つでも同様の症状が出ていたら、メンテナンスを依頼するのがおすすめです。


※ご自身で屋根に上り、状態をチェックするのは非常に危険です!

業者に点検を依頼し、写真を撮ってもらって確認しましょう。


①色あせ

新築時よりも屋根全体の色が薄くなります。

紫外線によって塗膜効果が失われ、雨水を吸い込みやすくなっている状態です。

メンテナンス方法:塗装工事


②カビ・コケ

屋根の黒ずみや茶色の汚れは、カビやコケです。

カビ・コケの繁殖=屋根が水分を含んでいる、という状態なのでメンテナンスが必要です。

メンテナンス方法:塗装工事・カバー工事


③ひび割れ

水分を吸った屋根が膨張、その後太陽の光にさらされ収縮を繰り替えすことで屋根が歪み、ひび割れが発生します。

メンテナンス方法:塗装工事・カバー工事


④欠け

ひび割れが悪化し、最終的に屋根の一部が欠けてしまいます。

大きな破損の場合は補修ではなく、屋根自体の交換が必要になる場合もあります。

メンテナンス方法:塗装工事・カバー工事


⑤反り

屋根が水を吸って膨張し、その後太陽光で表面から乾かされることで、屋根材が外側に反り返ってしまいます。

この状態になると元に戻すことはできず、割れる可能性も高いため交換が必要です。

メンテナンス方法:塗装工事・カバー工事・葺き替え工事


【合わせてチェック】棟板金の釘抜け

棟板金(むねばんきん)とは、スレート屋根の頂点部分に被せる金属の板のことです。

棟板金を留めている釘は、年数が経つと熱膨張によって抜けてきてしまいますので、工事のタイミングで再度釘を打ち直す必要があります。

メンテナンス方法:塗装工事



3 屋根のメンテナンス方法

続いて、メンテナンス方法を3種類紹介します。

現在の屋根の劣化状態、今後ご自宅にどのくらい住むかといった点に考慮して、適切なメンテナンス方法を選びましょう。


1 塗装工事

色あせ、小さなひび割れといった劣化の初期症状であれば、塗装工事で修繕することができます。

塗装を塗り直すことで、紫外線や雨水から屋根を守る塗膜の保護が復活し、屋根材の劣化を遅らせることができます。


使用する塗料の種類にもよりますが、5~20年ほどの耐用年数がつきますので、定期的に塗装のメンテナンスをすることで、長く屋根を守ることができます。


また、屋根塗装をする場合は、外壁・雨どいなど他の部分の塗装も同時に行うとお得です。

屋根・外壁塗装に必要な足場の代金が1度の支払いで済みますので、結果的に費用を抑えることができます。

屋根塗装と同時に、住宅全体のメンテナンスをするのがおすすめですよ。



【CHECK!】保証年数≠耐用年数

施工店が出す保証年数は、使用した塗料の耐用年数より短いのが通常です。

塗料の耐用年数はあくまで目安であり、住宅の環境や自然災害の有無によっても劣化の進行具合は大きく異なります。

施工店が出す保証年数と塗料そのものの耐用年数は同じではありませんので、注意しましょう!



2 カバー工事

既存の屋根の上に防水シートと新しい屋根材を張って被せる工事です。

屋根本来の防水機能を取り戻すことができ、塗装よりも長期間屋根の状態を良好に保つことができます。


葺き替え工事に比べて費用が安く、工期が短いといったメリットもあります。


カラーベスト・コロニアルといったスレート、軽い金属屋根などのフラットな屋根材であれば施工できます。

塗装だけでは補修できないほど屋根が劣化してしまった場合は、カバー工法を検討しましょう。

屋根材にもよりますが、耐用年数は20~40年と長いので、今後工事の回数を減らしたい、という方にもおすすめです。


3 葺き替え工事

現在の屋根を撤去し、新しい屋根材に取り換える工事です。

築年数の経過、雨漏りなどにより屋根の内部まで腐敗が進んでいるような場合には、塗装やカバー工事では対応できないため、屋根自体の取り換えが必要になります。


内部の補修・補強ができ、屋根材も新品になるため、発生していたトラブルがすべて解消されます。

新しく使用する屋根材にもよりますが、耐用年数は20~40年です。


【CHECK!】一部の補修だけでは安心できません!

棟板金を留める釘が抜けていた、瓦に割れ・欠けがあった…と分かっても、

「でも雨漏りなどの実害はないし…」

と考えている方は注意が必要です!


釘の抜けや屋根の割れは、内部に雨が侵入する原因となり、屋根の内部が腐敗したり、最終的には雨漏りが発生してしまいます。


今回は簡単な補修だけ…と思って依頼をした場合でも、数年以内には細かいチェック・屋根全体のメンテナンスが必要になります。

いつ工事をするのがいいか、費用はどのくらいか…など、準備を進めておくといいでしょう。






4 屋根のメンテナンス費用

塗装工事、カバー工事、葺き替え工事にかかる費用相場は、以下の通りです。塗装なら50万~70万、葺き替えなら100万~200万と、工事内容によって幅があります。

塗装に比べ、カバー工事、葺き替え工事は費用がかかりますが、屋根の劣化具合や、耐久度の観点から、塗装だけで済ませていると逆に高くつく…ということもあります。


現在の屋根の劣化状況や予算、今後のメンテナンスのスパンなど、総合的に考えて適切な工事を選びましょう。



5 まずは点検を依頼しよう

カラーベスト・コロニアルの特徴と、メンテナンス方法について紹介しましたが、まずは、ご自宅の屋根がどのような状態かを確認することが重要です。


屋根は、自分で細かくチェックすることが難しく、気にしないでいたら劣化が進んでしまっていた…ということも多くあります。


点検の際は業者に写真を撮ってもらい、色あせや、瓦の割れ、コケといった劣化症状が進んでいないか、しっかりチェックしましょう。

ドローン点検を行う業者も増えています。ドローンの映像で、さらに細かく屋根を見ることもできますよ。


劣化が進んでいる場合には、専門業者と相談し、メンテナンスを進めていきましょう。




さいごに

今回は、カラーベスト・コロニアルについて紹介しました。

簡単にまとめてみましょう。


〇カラーベスト・コロニアルはスレート屋根の一種

・スレート…屋根材の総称

・カラーベスト…ケイミュー社が製造するスレート屋根材のシリーズの名称

・コロニアル…カラーベストの商品名


〇カラーベスト・コロニアルの特徴

ほかの屋根材より

・費用が安い

・軽量で、地震の揺れを抑える

・カラーバリエーションが豊富


〇カラーベスト・コロニアルのメンテナンス方法

・塗装工事…劣化の初期症状に対応・耐用年数を延ばす

・カバー工事…塗装では対処できない劣化に対応・今後のメンテナンス回数を減らす

・葺き替え工事…屋根の重大な劣化に対応

現在の屋根の状態や、それぞれの耐用年数を考慮して、メンテナンス方法を選びましょう。


〇カラーベスト・コロニアルのメンテナンス費用


何よりも、まずは専門業者に点検してもらい、屋根の状態をチェックしましょう。

屋根は、紫外線や雨風から常に私たちを守ってくれる、住宅の大切な一部です。

劣化が進んでいたら業者と相談し、長期的なスパンで、今後の屋根のメンテナンスについて考えていきましょう。


最後までお読みいただきありがとうございました。



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「著者情報」

 関裕一 

東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット

サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者

18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。

​塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。

お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。


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