足立区千住曙町にお住まいのお客様より、屋根の状態についてのご相談です。
きっかけは、訪問販売業者からの指摘だったとのことです。
「屋根に異常があり、雨漏りの危険がある。すぐに修理したほうがいい」とそれまでに数回、指摘されていたそうです。
築15年、一度もメンテナンスをしていないこともあり、余計心配になってしまい、きちんと点検してみようと思ったそうです。
知らない訪問業者に任せるのは不安とのことで、地元での実績のある当社にご相談いただきました。
この先、安心して暮らすためにもきちんと点検してもらい、修繕が必要なら行ってほしいとのご依頼をいただきました。
目 次
まずは、ビフォーアフターをご覧ください!
屋根を点検した結果、お客様のお家の屋根にはパミールが使用されていました。
パミールは不具合の多い屋根材として知られています。
修繕方法として塗装は選択できません。
屋根材が剥がれてしまうと、塗膜も剥がれてしまうので長持ちしません。
ということで、今回は屋根カバー工法による工事を提案いたしました。
使用するのは、ディプロマットスターという屋根材です。
ジンカリウム鋼板を使用しており、耐久性に非常に優れています。
屋根材を設置するときに、空気の層が構成されるので、断熱効果も期待できるのもポイントです。
今回の工事の内容
築年数 15年
広さ 65㎡
内容 屋根カバー工法
期間 1週間
使用した屋根根材 ディプロマットスター(カラー:カフェ)
保証年数 10年
ドローンによる屋根の点検
訪問業者から指摘を受けたという、屋根部分を道路から確認しました。
屋根の上から確認してみなければ、屋根の状態がわからず、その点では訪問業者の指摘は、根拠がないもののように思われました。
ドローンを使用した屋根の点検では、少し離れて屋根の上空から撮影しました。
屋根の全面の様子が確認できました。
画像で確認したところ南面、北面共に屋根材の損傷や棟板金の剥がれもありませんでした。
北面には、1階の部分に、下屋根と呼ばれる小さな屋根があります。
下屋根は建物の裏にあったりしますので、見落としのないように確認しなければなりません。
上空からの画像ではわかりづらかったですが、ズームして撮影した南面の屋根は、屋根材の表面の剥がれが複数箇所、発生していました。
屋根材は、アスベストが含まれているものとノンアスベストのものがあります。
ノンアスベストのスレート屋根材が普及しはじめた当初は、スレートの強度が弱く、ヒビ割れや剥がれなどの問題が多くありました。
築15年のこちらのお宅は、その時代の屋根材を使用しています。
目視で屋根を詳しく調査
ドローンで屋根全体の状態を確認した後は、ハシゴで登り、目視にて詳しく調べます。
左の画像では、屋根の頂上部に換気棟があります。
小屋裏に溜まった熱気や湿気を排出するために、屋根の棟に設置された換気部材です。
換気棟は、結露を防ぐ役割があります。
結露が発生すると、構造材が劣化してしまうので換気棟を取り付ける必要があります。
右の画像では、棟板金を固定している釘が浮いてしまっています。
下地の木材の経年劣化や板金の収縮により、徐々に浮いてきたもので、釘の打ち直しやビスへの交換により修繕します。
屋根材は、表面の剥がれが目立っていました。
お家の屋根に使用されていたのは、ニチハというメーカーのパミールでした。
この屋根材はノンアスベストのスレート屋根材ですが、劣化すると層状剥離してしまいます。
発売当時はノンアスベストの屋根材として人気がありましたが、施工後時間が経過し、剥がれなどが続出し、問題になっています。
屋根材を調べると「パミール」という名前はよく出てくるので、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
パミールを使用した屋根は、層状に剥離してしまうため、再塗装してもまたすぐに剥がれてしまいます。
そのため、今回は屋根カバー工法をご提案いたしました。
詳しい工事内容の説明をいたしましたところお客様にも了承いただき、工事を実施しました。
いよいよカバー工法での屋根リフォーム工事
近隣への挨拶と足場設置
工事を実施する前には、必ず近隣の皆様にご挨拶をいたします。
工事中の音や車の出入りでご迷惑をおかけしてしまいますので、工事の前の挨拶は大切です。
挨拶があるかないかで、印象も違ってきますからね。
そして足場を設置し、工事を実施してまいります。
既存の部材を撤去
屋根カバー工法工事は、そのまま今ある屋根の上に新たな屋根を重ねるといった単純な工事ではありません。
こちらの元の屋根には、棟板金、雪止め金具が取り付けられていました。
まずは、これらを撤去することからはじめます。
そして平坦な状態にします。
棟板金を外しました。
すると、屋根材の商品名が現れました。
やはり屋根材は、パミールでした。
パミールに再塗装をしてしまう業者もいますので、屋根材の種類を事前に確認しておくことも大切です。
ルーフィングの設置
ルーフィング=防水シートを設置します。
使用するルーフィングは粘着タイプなので、タッカーでの固定はしません。
遅延粘着式になっており、貼った直後であれば貼り直しもでき、作業効率もアップします。
ルーフィングは水が流れ落ちる下側(軒先側)から設置していくことで、シートの継ぎ目からの水の侵入を防ぎます。
新しい部材の取り付け
軒先に唐草という部材を設置します。
このとき、必ずルーフィングを軒先の上に被せます。
唐草が上になってしまうと、ルーフィングをつたった水が軒先に流れてしまう危険があるので注意が必要です。
こちらは、屋根の妻側に取り付けるケラバ板金という板金です。
唐草と同様に水切りの役割を果たします。
屋根材の設置
いよいよ屋根材の設置です。
今回屋根材には、ディプロマットスターを使用しています。
屋根材の表面が自然石粒で覆われており、ザラザラしています。
そのため、6寸勾配までは、雪止め金具がなくても問題ありません。
お客様が選ばれたカラーは、ブラウン系の「カフェ」でした。
石粒は天然のため色の違いが出て、デザイン性のあるモダンな仕上がりになります。
屋根材の設置はルーフィングと同じように、軒先側から行なっていきます。
この屋根材には、返しが付いており、屋根材同士を噛み合わせることができるので、ビスで屋根をしっかり固定すれば、台風などの強風にも強くなります。
新しい屋根材が設置されました。
屋根の頂上部分の隙間に見えるところは、つぎに棟板金を設置する部分です。
棟板金の設置
棟板金の設置に取り掛かります。
元の貫板は木製でしたが、新しい貫板は樹脂製に変更しました。
左の写真の真ん中に設置されているのが換気棟です。
通気の為に穴がいくつか開いていますが、水が入らない構造になっています。
最後に板金も被せますので、雨水が直接当たることはありません。
屋根の上の作業はこれで終わりです。
屋根リフォームが完了しました!
屋根カバー工法による工事が完了しました。
工事前の屋根は、屋根材の捲れや色褪せで美観を損ねていました。
カバー工法工事によって、屋根の劣化は解消され、オシャレなデザイン性のある屋根に生まれ変わりました。
屋根の劣化と雨漏りの心配をしていたお客様でしたが、仕上がった屋根をご確認いただいたところ、仕上がりに大変満足されていました。
雨漏りの心配もなくなったと喜んでいただきました。
屋根について、心配なこと、わからないことがございましたら、どんなことでもサンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス)にお気軽にお問い合わせくださいませ。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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