「ドローンを使って屋根の点検ができますよ?」
「今、わが社ではドローンの点検サービスをやっています。」
屋根業者から、ドローンを使った屋根点検という、あまり馴染みのない言葉を聞いたことがあるかもしれません。
ドローンとは、空撮などができる小型無人航空機です。
ヘリコプターのラジコンをイメージすると、わかりやすいかもしれません。
ドローンは高性能なカメラで、使用用途に応じて撮影できるので、点検などに活用されています。
そのため、機体自体が高価なこともあります。
登ることができない屋根でも、ドローンで撮影することで屋根の状態を確認できます。
滑りやすい屋根に登ることはは、ベテランの職人でも危険です。
ドローンなら、職人の安全を守りながら点検ができます。
このようにメリットの多いドローンですが、
航空法など守らなければならないルールがあります。
近隣への配慮を怠れば、ご近所トラブルなどに発展してしまうこともあるのでご注意ください。
もちろん、ドローンの操作技術も必要です。
ドローンにまだ馴染みがなく、手探り状態の業者がいることも否定できません。
ドローンを悪用する業者もいます。
あなたが安心して、ドローンによる屋根点検ができるように、知っておきたい基礎知識をご紹介します。
目 次
1.ドローンを使った屋根の点検とは?
屋根を点検するドローンには、撮影機能やサーモグラフィー機能(温度感知)などが付いています。 (※ ドローンの性能は機体によって違います。)
ドローンもラジコンと同じく、操作用のコントローラーを使い、飛行させます。
ドローンを使ったサービスを提供している企業と連携したアプリなら、操作不要で屋根の写真が撮影できます。
ドローンによる点検は、足場をかけたり、屋根に登る必要がないため、安全に点検できるのも特徴です。
台風などの災害で被害を受けた地域でも、ドローンを使った屋根点検が活用されています。
屋根などの人が作業することが難しい場所の点検において、ドローンの需要は高まってきているといえるでしょう。
ドローンは、離れた場所から、屋根の状況を確認することができます。
そういったことから、ドローンを使った屋根点検が、ふるさと納税の返礼品になっている地域もあります。
近年、ドローンを使った点検に関する市場規模は、着実に伸びており、屋根修理の業界全体でドローンの活用が拡大しています。
2.ドローンを使った屋根点検のメリット
ドローンを使った屋根点検はメリットも多く、屋根修理の業界でも活用が進んでいます。
ドローンを使うメリットは4つあります。
屋根材の破損を防げる
職人の安全を守ることができる
足場が必要ないので調査費用を抑えられる
悪徳業者の嘘は通用しない
また、ドローンが活用される理由として、屋根に登れる職人が少ないということもあります。
大工関連の職人の高齢化と、職人になる人数が減っているため、屋根に登れる人が減ってきているのです。
職人が減少している中、屋根点検の需要は増えている状況で、ドローンによる屋根の点検という方法が、促進されています。
それでは、ドローンを使った屋根点検のメリットを、それぞれを詳しく見ていきましょう。
メリット 屋根材の破損を防げる
屋根の点検を考えている場合、すでに劣化が進んでしまっているのかもしれません。
もし、傷んでいる屋根の上を職人さんが歩いていたら…。
体重を掛けたときに、屋根材が割れてしまうかもしれません。
屋根材が割れる可能性を考えて、屋根に登った際には慎重になることはもちろんですが、どんなに気を付けていても屋根材が破損してしまうことはあります。
ドローンなら、人が屋根に登らずに点検できるので、屋根材の破損を防ぐことができます。
メリット 職人の安全を守ることができる
屋根に上っての点検は、命がけといっても決して大げさではありません。
建設業における死亡事故のうち、約4割が屋根や屋上からの墜落・転落事故なのです。
2019年に発生した台風15号で被災した千葉県では、家屋修理の際に屋根などから転落する事故が続出しました。
屋根の専門家ではない方の事故ですが、屋根に登るのは専門業者でも危険が伴うことに違いはありません。
ドローンを使えば、屋根を登らずに点検ができるので、事故のリスクを減らすことが出来ます。
メリット 足場が必要ないので調査費用をおさえられる
屋根の点検する場合は、ハシゴの設置場所や、足場の組み立てについての調査をしなければなりません。
3階建てなどハシゴが使えない高さの屋根では、足場の設置が必要になり、その分コストがかかります。
狭い場所に足場を設置する場合、隣家にはみ出してしまう可能性もあります。
ハシゴや足場の設置が必要ないことも、ドローンの需要が増えている理由です。
屋根に登るより調査時間が短く、足場代がかからないので、費用を抑えらます。
メリット 悪徳業者の嘘は通用しない
屋根は実際に見ることができない部分なので、悪質な業者が点検時に嘘をついて契約させることもできてしまいます。
国民生活センターでは、点検商法の相談件数も増加しているそうです。
点検商法とは?
「無料で点検します」と突然、訪問してきます。
ハシゴで屋根に登り、「屋根材が割れている」などと嘘を言い、屋根工事の契約させるというものです。
特に屋根は目視できないので、騙されやすい工事かもしれません。
ドローンなら、業者と一緒に屋根の状況を確認できるので、嘘をつかれることもありません。
点検商法に騙されないためにも、ドローンの利用は効果的です。
3.ドローンでの点検、デメリットは?
ドローンでの点検に興味を持っていただけたでしょうか。
ドローンではできないこともあると理解したうえで、検討していただきたいので、
ここでは、ドローンでの点検において、できないことをご紹介します。
飛行禁止区域では、点検できない
天候に左右されやすい
操作不良による事故
応急処置ができない
詳細は分からないこともある
では、くわしく見ていきましょう。
飛行禁止区域では、ドローン点検できない
ドローンは、高性能な機械です。
兵器でも導入されており、取り扱いには慎重にならなくてはいけません。
ドローンに関する法律や条例も守らなければならず、飛行場所や条件によっては、ドローンを使用することができませんので注意が必要です。
ドローンに関する主な法律
航空法
小型無人機等飛行禁止法
道路交通法
民法
電波法
都道府県、市町村条例
ドローン飛行のルール
日中の明るい時間帯での飛行
目視できる範囲内での飛行
撮影対象の距離の確保
イベント会場などでの飛行禁止
危険物の輸送禁止
物体の投下禁止
飛行禁止区域
地表や水面から150m以上の高さ
空港やヘリポート周辺
人口集中地区
違反した場合は、1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金に処せられる場合があります。
このように、あなたが「ドローンを使って屋根を点検してほしい。」と思っても、使えない場合があるのです。
また、ドローンを使用するには、使用許可を取らなくてはいけない場合もあります。
ドローン使用に関する知識を持つことは大切です。
この知識があれば、点検を依頼する前に、屋根業者に「許可を取っているか、飛行場所に問題はないか」と業者に確認することもできます。
屋根業者が法律やルールを無視してドローンを使用した場合、あなたが責任を問われるというトラブルを防ぐことができます。
ドローンは天候に左右されやすい
ドローンは空を飛ぶので、天候も考慮に入れることも大切です。
いつでも飛ばせるわけではありません。
風が強かったり、雨が降っていれば無理に飛行させることはできません。
国土交通省の無人航空機マニュアルによると、雨天時風速5m以上では、飛行させないと記載されています。(風速5m以上でも飛行可能なドローンもあります。)
もし、無理にドローンを飛行させたときに何か問題が起こったら、トラブルに巻き込まれてしまうかもしれませんので、ドローンで点検をする日は、しっかり天候の確認をしてください。
ドローンの操作不良やトラブルによる事故
操縦ミス、もしくは何らかのトラブルが発生して、ドローンが落下してしまったら…。
ドローンは重量があるため、家に落下すれば壊れますし、人に当たったら怪我をしてしまうかもしれません。
ドローンの事故・トラブルの数
平成30年までは、1年に100件を超えるドローンによる事故が発生していましたが、近年では減少傾向にあります。
ドローンを使った点検を行う前には、飛行範囲のご近所の方に連絡を入れておく必要があります。
優良な業者であれば、ドローンの操作技術はもちろん、近隣への配慮もしっかりしています。
業者に依頼する前には、近隣への挨拶をするかを確認しておかないと、トラブルがあった場合は、あなたのせいにされてしまうかもしれません。
ドローンの事故を起こさないためにも、業者選びは慎重に行いましょう。
ドローンの点検では、応急処置ができない
ドローンでの屋根の点検では、不具合を見つけても、その場で応急処置などはできません。
ドローンはあくまでも撮影するために使われるものです。
そのため、人が登って点検するようには、対応できないことを知っておきましょう。
ドローンでは詳細はわからないこともある
ドローンを使って、空から屋根を撮影すれば、屋根全体の様子や劣化場所はわかります。
しかし、屋根材を剥がして内部を確認するといった、詳細な点検はできません。
そのため、ドローンの点検だけではわからない不具合があったら、見逃してしまう可能性もあります。
ドローンで屋根全体の確認を行い、詳細な点検は人が直接、目視してチェックするという点検方法をおすすめします。
4.点検の費用はどのくらいかかる?
ドローンを使用した屋根点検の費用は、5,000~30,000円が相場となっています。
少し幅が大きいので費用相場とは言いにくいですね。
他の業界でドローンを使った空撮は数万円レベルの高い金額で設定されているようですが、屋根や外壁の業者がドローンを使う場合は、安めに設定されていることが多いようです。
ドローン点検といっても、業者側にも、さまざまな費用がかかっています。
ドローン点検にかかる費用の内訳
ドローンの購入費(もしくはレンタル代)
ドローンの民間資格の年会費(年会費がある場合)
ドローン使用のための確認費用
技術費(職人の技術)
調査費(職人の人件費)
交通費
屋根だけなら撮影時間もあまりかからないと思いますが、より詳細に点検するために長時間使用する場合は、費用は高くなるでしょう。
また、使用するドローンの機種や機能によっても違うでしょう。
修理などの見積もりと同様に、使用する状況によっても費用は変わってきます。
無料で点検してくれる業者も!
ドローンの会社と提携して、安く機体を扱えるため、無料でドローン点検をしてくれる業者もいます。
無料でドローン点検もらえるのは嬉しいですよね。
しかし、ドローンを使うにはさまざまな条件やルールがあり、それを満たさなくてはなりません。
依頼する際には、ドローンを使う条件が整っているか、必ず確認することをおすすめします。
5.ドローン点検の詐欺に注意
ドローンを使った屋根点検は、費用の相場が5,000~30,000円となっており、有料なのがほとんどです。
もちろん、無料で対応してくれる業者もいますが、基本的に点検は有料です。
近年では、ドローンを使った屋根点検の詐欺が多発し、消費者センターにも問い合わせが増えています。
詐欺の手口の一例
■訪問セールスで来た屋根業者がその場でドローンを使って点検し費用をを請求してくる。
法律など守らず、強引な業者も多いので注意しなければなりません。
■相場以上の点検費用を請求してくる。
被害者が相場を知らないのをいいことに、高額を請求します。
■ドローン点検は無料だが、点検後の行われた修理や工事に対しての高額な費用を請求される。
無料と言って勧誘しますが、結局は高額な費用を請求されてしまいます。
ドローンによる点検というのは最近の技術です。
まだ世間に浸透していないのをいいことに、悪徳業者はカモを探しています。
悪徳業者の被害報告が後を絶たちません。
兵庫県三田市市役所のホームページでは、ドローンを使った点検詐欺に対する注意喚起と事例が紹介されていました。
自然災害の調査と称して、ドローンによる屋根の点検を勧誘されたというものです。
点検後、火災保険で工事金額を無料にできると言って契約をとろうとしてきます。
点検を依頼する際は、複数の業者から見積もりを取り、点検内容をしっかり確認してから契約してください。
6.ドローンによる屋根点検の流れをチェック!
さていよいよ、ご自宅の屋根を点検するとなったら、
点検の流れを見ていきましょう。
点検した際に、不具合があった場合、見積書も後日受け取ります。
点検時間は屋根を空撮するだけであれば、5~15分ほどの短時間で終了します。
7.ドローンを使った屋根点検、自分でできる?
ドローンを使うのに民間資格はありますが、免許は必要ありません。
誰でも使うことができます。
ですが、ご自分でドローンを使って、屋根の点検をすることはおすすめしません。
たとえば、操作を誤って落下事故を起こしてしまったら?人を傷つけてしまったら?
高額な慰謝料や修理代金を請求されかねません。
ドローンは便利ですが、操作には細心の注意が必要です。
業者に依頼するほうが、トラブルを避け、安心・安全に点検ができるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
ドローンによる屋根点検について、知っておきたい基礎知識をご紹介しました。
詐欺も多くなっていますので、しっかり確認して信頼できる業者に依頼してくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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