今回の記事では、外壁改修工事の実例を取り上げてまいります。
目 次
「地震によって家屋に大きな被害を受けました」
外壁が広範囲に渡って剝落。
また亀裂は基礎にまで及んでいました。
被害が甚大なため、外壁は張替え工事でしっかり補修。
もちろん大事な基礎も補修をすることになりました。
工事のビフォー&アフターはこのような感じです。
とてもキレイになったことは、一見してお分かりいただけると思います。
でも見た目だけでなく、実際にどんな補修が行われたのか?
具体的に詳しく解説していきます。
1 工事の基本情報
■施工内容
・・・外壁のサイディング張替え、基礎・外構・窓・庇・破風(はふ)の改修
■使用材料
・・・外壁材:(ホワイト) 旭トステム / Danサイディング「セドナSF」
(ブラウン) 旭トステム / Danサイディング「ソリッドボーダーSF」
■外壁メーカー保証年数
・・・セドナBF : 変色・退色・赤錆・穴あき10年
ソリッドボーダーSF : 塗膜の変色・色褪せ15年、赤錆・穴あき10年
2 施工前の状態
地震によって外壁に亀裂・剝落多数。
基礎部分のコンクリートにも亀裂と剝落。
これらを補修しなければなりません。
3 施工
3-1 既存のモルタル外壁を撤去
最初に高所部分を作業するための足場を架設し、既存のモルタル外壁を撤去します。
建物内部はそのままに、外壁だけの撤去になりますので、手作業となります。
部分的にサンダーで切れ込みを入れたり、ハンマーで割ったりもしますが、基本的には手作業で。
地道な工程となります。
モルタル外壁、モルタル外壁の下にあったラス網、防水シートを撤去した後の状態が上の写真です。
板が並んで打ち付けてありますが、これは下地の荒板です。
外壁がない状態では、もちろん防水ができません。
そのため、雨には要注意です。
新しい外壁材を施工するまで、もし雨が降っても浸水しないよう、家屋全体を養生します。
3-2 外壁の内部に構造用合板を張ります
下地の荒板に、構造用合板を張ります。
全面に構造用合板を張り付けた写真です。
こうして全面に構造用合板を張り付けることで、従来に比べ耐震性が大幅にアップします。
今回の工事は、既存の外壁を撤去し、新しい外壁にする 「張替え工法」 です。
既存の外壁の上に新しい外壁を重ねる 「カバー工法」 の場合には、構造用合板を張ることはできませんし、重量も増えるため、耐震性を向上させることはできません。
3-3 外壁以外に補修が必要な箇所を補修
亀裂、剥落のあった基礎部分には、エポキシ樹脂を注入します。
エポキシ樹脂は硬化すると、コンクリート並みの硬さになります。
樹脂が固まるのを待ち、基礎の内部をしっかりと固くしてから、表面も仕上げ補修を施します。
今回は基礎部分に加え、庇部分も新しく作り変えました。
3-4 透湿防水シートを張る
構造用合板の上に、透湿防水シートをタッカーで留めていき、張ります。
昔の防水シートは防水性だけで、内部の湿気を逃がす「透湿」機能はありませんでした。
しかし建築材や建築技術が進歩し、室内や構造体内部の気密化・断熱性能の向上が進むと、
壁内にも結露が発生し、柱や土台が腐食したり、断熱材の性能低下などの問題が起こりやすくなってしまいました。
そのため現在では、多くの問題を引き起こす壁体内の湿気を除去できる 「通気構法」 が主流となっています。
防水シートに関しても、透湿性をもった「透湿防水シート」を使用することが多くなっています。
3-5 胴縁の取り付け
防水シートの次は、 「胴縁」 を設置します。
これは壁内に通気層を確保するためのものです。
今回の工事では、この上に金属サイディングを張るわけですが、胴縁のおかげで金属サイディングと下地が密着することなく空洞ができます。
通気性や湿気の排出が向上しますし、またもし雨水が侵入したとしても屋外へ排出されますので、下地の劣化を抑える効果があります。
3-6 金属サイディングの張り付け
胴縁の上に、外壁材である金属サイディングをビス留めして張ります。
金属サイディングは窯業系サイディングよりも軽量で、断熱材と一体化している製品も多く、防音性にも優れています。
また写真で見ていただけますように、デザインも豊富で、とても金属には見えないものも多くお好みの外観になるものをお選びいただけます。
ちなみに今回使用した外壁材は、旭トステム社の 「Danサイディング」。
中に断熱材が入っており、表面は遮熱性フッ素でコーティングされています。
防汚のためのセルフクリーニング機能がついた外壁材もあります。
3-7 完工
モルタル外壁から金属サイディングへの張替え工事が完了です。
張替えの結果、外壁の重さは約1/10 に。 断熱性は約50倍になりました。
耐震性もアップしています。
外観が美しくなったことはもちろんのこと、安心して長く住めるお住まいとして生まれ変わりました。
以上、外壁補修の中の張替え工法を実例で解説してまいりました。
いかがでしたでしょうか。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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