目 次
「室内塗装は可能ですか?」と考える方は少なくありません。
通常、塗装工事と聞くと外壁や屋根、塀や門扉など外部の工事を思い浮かべがちです。同様に、お部屋のリフォームと言えば壁紙の張替えが主流です。
しかし、壁材の凹凸が大きく壁紙が適さない場所でも、液体の塗料であれば場所を選ばず施工可能です。また、塗装ならではのスタイリッシュな質感を実現することもできます。
ウェザリング(シャビー塗装)技術を用いてヴィンテージ風のエイジング効果を施したり、骨材(硅砂/寒水石/パーライト/セラミック/貝殻等)を含む塗料を使用し、コテ塗りや櫛引き、刷毛引きなどの模様を作成することが可能です。
お部屋の雰囲気を大切にしたい方や、店舗などの商業空間の内装にも室内塗装はおすすめです。
「室内塗装をすると臭いが心配」という方も多いでしょう。しかし、現代の塗料はほぼ無臭です。さらに、室内用塗料には、大気汚染物質であるホルムアルデヒドやアセトアルデヒドを吸着する種類も存在します。
暗い部屋の解決策: 室内塗装用の高拡散反射塗料
「部屋が暗くて困っているけど、室内塗装で解決できるかな?」とお考えの方へ。日光が十分に入らない部屋でも、室内塗装用の高拡散反射塗料を使用することで、既存の照明をそのままで部屋を明るくすることができます。
室内塗装用のこの塗料は、塗布された面の拡散反射率が高まるため、同じ量の光でも部屋をより明るく照らします。また、艶消しの性質を持っているので、眩しすぎることもありません。
夜に多く活動される方は、消費電力の低い照明に変えることで、さらに光熱費を削減できます。
湿度調整機能を備えた室内塗装で、夏のジメジメと冬のカラカラを解決!
以前の家屋では、内壁に漆喰や珪藻土が使用されていました。これらの素材には、湿度が高いときに水分を吸収し、低いときに放出する調湿機能があります。
現在は、漆喰や珪藻土を含んだ「調湿機能付きの室内用塗料」が市場に出ています。また、これらの素材を含まない場合でも、調湿機能を持つ室内塗装用の塗料が存在します。これにより、夏場の湿気や冬場の乾燥を効果的にコントロールすることが可能です。
ペットやタバコの臭い対策: 消臭機能付きの室内塗装で解決!
「消臭機能を持つ室内用塗料」は、さまざまな種類が存在します。例えば、臭いを吸収するタイプ、光触媒によって臭いを分解するタイプ、金属イオンを活用したタイプなどがあります。
室内での洗濯物の干し方によっては、衣類に室内の臭いが移り、不快な状態になることがあります。その逆も同様で、洗濯物の柔軟剤の臭いが部屋に広がり、望ましくない臭いを生じさせることもあります。
ペットを飼っている家庭や喫煙者の方にとって、消臭機能を持つ室内塗装は非常に有効な解決策です。これらの塗料を使用することで、室内の空気をより快適に保つことができます。
有害物質やウイルスを抑制する室内塗装用塗料の存在!
室内用塗料の中には、シックハウス症候群の原因となる揮発性有機化合物(VOC)、特にホルムアルデヒドを吸着し、分解して無害化する種類があります。
さらに、食中毒を引き起こす大腸菌や黄色ブドウ球菌、MRSAの増殖を抑制する塗料や、鳥インフルエンザウイルスを不活性化する塗料も開発されています。これらの塗料を利用することで、室内環境をより安全で清潔に保つことが可能です。特に、健康や衛生に関心が高い方々にとって、これらの機能を持つ室内塗装は大きなメリットをもたらします。
VOC(Volatile Organic Compounds)は、揮発性有機化合物の総称で、空気中で気体として存在することが多い物質のことを指します。これらは塗料、接着剤、ガソリン、シンナーなどに含まれるトルエン、ベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなど、多くの異なる化合物を包括します。
VOCは、シックハウス症候群や化学物質過敏症の原因となることがあります。また、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の生成に関与し、環境汚染や人の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、その管理と低減は重要です。
MRSA(Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus)は、メチシリンという抗生物質に対して耐性を持つ黄色ブドウ球菌の一種です。通常の黄色ブドウ球菌と同じように人の皮膚や鼻腔に常在することがあり、健康な人の免疫力が正常であれば通常は感染しません。
しかし、一旦感染してしまうと、メチシリン耐性のため標準的な抗生物質での治療が困難になることが特徴です。そのため、MRSA感染は治療が難しく、場合によっては重症化するリスクもあります。特に免疫力が低下している人や、医療機関などでの感染が問題となることが多いです。
室内塗装にはF☆☆☆☆(フォースター)等級の塗料を選びましょう!
シックハウス症候群の主な症状には、倦怠感、めまい、頭痛、湿疹、喉の痛み、呼吸器疾患などがあり、これらはしばしばホルムアルデヒドの放散に起因します。
「F」に続く「☆」の数は、塗料からのホルムアルデヒドの放散量を表しています。星の数が多いほど、放散量が少ないことを意味し、より健康に配慮されています。
改正建築基準法では、F☆☆☆☆より低い等級の塗料を使用する場合には面積に制限が設けられていますが、F☆☆☆☆の塗料ではそのような制限はありません。一般的な室内塗装業者では、F☆☆☆☆等級の塗料が使われることが多いため、依頼前に業者にこの点を確認するとより安心できます。
現代の室内用塗料は、安全性に関して大きな進歩を遂げています。
かつての塗料には揮発性有機化合物(VOC)やホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれていましたが、最新の室内用塗料はこれらの有害物質を含むことがほとんどありません。この進化により、人体に対する安全性が大きく向上しています。
室内塗装の用途も多様化しており、病院、幼稚園、ホテルなど様々な場所で使用されています。これらの環境での利用は、室内用塗料の安全性を裏付ける証明となっています。
塗料の安全性に関する懸念がある場合、塗装を行う前に業者に確認することが重要です。特に、環境や健康に配慮した塗料の選択は、安心して室内環境を整えるために役立ちます。
室内塗装の施工プロセスを一例として、雨漏りによる天井の雨染み修復のケースを紹介します。
養生:
天井に大きな雨染みができました。クロスの張替えも検討されましたが、天井材の性質上、塗り替えが適していると判断。
照明などの取り外しと、清掃・下地調整を行います。部屋の家具や床を保護するために養生をしっかりと施します。
下塗り:
低VOC、臭いの少ない塗料を選択。今回はスイセイエコエースとエコフラットを使用。
最初に雨染みの部分だけを塗り、カバーできるかを確認します。必要に応じて重ね塗りを行います。
仕上げ塗り:
長柄のローラーを使用して均一に塗装。塗料の適量を心掛け、垂れないように注意。
雨染みが完全に見えなくなるまで丁寧に塗り重ね、その後乾燥を待ちます。仕上がりを確認して、必要に応じて再塗装を行います。
工事完了:
数回の塗り重ねで天井の雨染みを完全に隠し、見た目をきれいに仕上
げます。
お客様からも満足の声をいただきました。
養生の撤去と照明器具の再取り付けを行い、点灯確認後に工事完了となります。
施工により天井が白く明るくなり、部屋も明るくなりました。
この一連のプロセスは、室内塗装における典型的な流れを示しています。特に養生の重要性や、適切な塗料選び、塗装技術の精度が、仕上がりの質に大きく影響します。また、施工後のフォローアップや継続的なメンテナンスも重要な要素です。
まとめ
今回は、室内塗装の様々な利点について詳しくご紹介しました。室内塗装は、以下のような様々な室内の問題を解決する効果が期待できます:
部屋の暗さ: 高拡散反射塗料を使用することで、室内の明るさを向上させることができます。
湿度の調整: 夏のジメジメや冬のカラカラを、調湿機能付き塗料で改善することが可能です。
臭いの問題: ペットやタバコの臭いを消臭機能付きの塗料で軽減できます。
また、室内用塗料には、有害物質やウイルスを抑制する特性を持つものもあります。これらの塗料は、特に衛生面や健康に配慮したい場所での使用に適しています。
安全性に関しては、「F☆☆☆☆」等級の塗料を選ぶことが推奨されます。これは、放散する有害物質が最も少ないことを示しており、特に室内空間での使用において重要です。
室内塗装は、これらの点を考慮して適切に行うことで、住環境を大幅に改善し、快適な生活空間を作り出すことが可能です。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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