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垂木とは?屋根を支える重要部材「垂木たるき」の役割やサイズ、補修まで、基礎知識を徹底解説





垂木(たるき)をご存じでしょうか。


垂木は、どんな屋根(勾配のある屋根)にも、必ず設置されているものです。

屋根勾配にしたがって、縦に向けて取り付けられている角材で、野地板・防水紙・屋根材が固定されているところですから、屋根を支える重要なパーツと言えるでしょう。


垂木の特徴として、屋根の重さ(重い瓦から軽い金属屋根まで)や軒の出の長短によって、垂木のサイズが違い、使い分けられていることがあります。


垂木は、屋根材・防水紙・野地板を支えるため一番下に取り付けられているので、屋根の状態に問題がなければ、損傷を受けることもありません。

ですが、屋根が劣化し、雨漏りなどが発生してしまうと、野地板など他の部材と一緒にダメージを受け、腐食する可能性が出てきます。


小屋裏(天井裏)からでもないと、一般的には見えない部分ですが、屋根の傾斜を支えている部材で大変重要な役割を果たしています。


定期的にメンテナンスが必要な部分ではありませんが、その重要性をぜひ知っていただきたいと思います。


目 次


垂木の役割とは?


屋根は、大部分に傾斜があります。

この傾斜を支えているのが垂木です。


垂木に野地板が取り付けられ、その上に防水紙を敷き、一番上に屋根材が設置されています。

屋根材によっても違うのですが、スレートや金属屋根では、釘やビスが野地板を貫通し、垂木に固定されています。


瓦を引っ掛けている桟も同様に、野地板を貫通し、垂木に固定しています。


防水紙はタッカー(ホッチキスの大きな針のようなもの)で野地板に設置されるものですが、その野地板が垂木に釘やビスで固定されているので、防水紙も垂木に固定されていると言えます。


屋根を構成しているのは野地板・防水紙・屋根材です。

そして、3つの部材の土台となっているのが垂木なのです。


垂木の重要さがおわかりいただけたでしょうか。



垂木は、屋根の傾斜を支える部材ということを説明してきました。

さてなぜ、垂木と呼ばれているのでしょうか。


野地板の下には、垂木があり、その下に母屋(もや)という部分があります。


母屋は地面に対して平行に設置された木材で、もっとも高いところにある棟木から垂らすように取り付けられていることが、「垂木」と呼ばれる語源となったそうです。


語源を知ると、身近に感じられるのではないでしょうか。

垂木を取り付ける場所


垂木が取り付けられる位置は、屋根材、防水紙、野地板の下です。


棟木から軒先まで1つの木材で、母屋に対して垂らすように、垂直に設置されます。


正面から見ると垂直ですが、勾配があるので横から見ると、垂れるように斜めになります。

垂木の設置については、取り付けると言いましたが、ひねり金物などの特殊な形状の金具により、釘やビスでしっかりと連結し、固定している感じです。


母屋を削って掘り込みを入れ、そこに垂木をはめ込む固定方法もあります。

垂木は、455mm間隔で横並びに設置されています。


455mm間隔というのは、在来工法や木造軸組工法で用いられる数値で、垂木を設置する際の一般的な間隔です。

303mm(1尺)間隔で、設置されている建物もあり、基本的にこの2種類の間隔どちらかで設置されています。

垂木の働き


垂木は、屋根材・防水紙・野地板を支えるだけでなく、家全体を強くするという構造材の役割もあります。


母屋と垂木を井形に組むことで屋根だけでなく、建物全体の強度がアップします。

そして、この上に野地板を設置することで、さらに強度がアップします。


建物の強度は、柱だけではありません。


屋根の強度も、建物全体の強度に大きく影響しているのです。

野地板は屋根面を平らにするので、工事がスムーズに進むというはたらきもあります。


垂木の上に、野地板を貼ることで、屋根の強度もさらに高まります。


建物の一番高い位置にある屋根は、強風や豪雨にさらされる場所でもあり、風雨に耐えるものでなくてはなりません。



垂木のサイズ

垂木は屋根材を固定し、家全体の構造を支える部分なので、屋根材や棟から軒までの長さによって、縦幅と横幅が変わってきます。


基本的に軽い屋根材で軒の出が短い屋根材には細い垂木、重い屋根材には太い垂木が使われます。

屋根リフォームにおいて、重い屋根材から軽い屋根材への変更はできます。

しかし、軽い屋根材から重い屋根材への変更はできません。

その理由は、家の構造や垂木の太さによるものもあります。


垂木の太さは、屋根材の重さを支えるため、幅よりも高さの方が太くなります。


垂木のサイズ:軽い屋根材の場合(金属屋根・スレート屋根)

垂木のサイズ:重い屋根材の場合(瓦屋根)

垂木のサイズ:ベランダなど軽い屋根の場合


屋根材が軽く軒の短い屋根の垂木と、屋根材が重く軒の長い屋根の垂木の断面積の比較してみます。


前者の断面積は27㎠、後者の断面積は60㎠となっています。

2倍以上の差があるのです。


ちなみに、瓦屋根1㎡の重さは56kgほど、軽い金属屋根では5kgほどです。

重い瓦屋根では、垂木にかなり負荷が掛かっていることがわかりますね。





垂木を正確に取り付けるために必要なこと


屋根の葺き替えリフォームなど一部では、防水紙を剥がして釘やビスの位置で確認することも可能ですが、屋根カバー工法ではできません。


ですので、垂木を直接確認しなくても、正確に設置できる知識がとても大切です。


小屋裏で直接確認しなくても、垂木を設置できる理由
  • 垂木は455mm間隔で、均等に母屋に設置されている。(303mm間隔の建物もあり)

  • 屋根材と軒の長さによって、サイズが決まっている。

  • 一番外側に設置される垂木は、外壁が取り付けられている柱の中心(壁芯)に設置されているため、推測が可能。

釘やビス打ちにおいても、野地板のみの部分と野地板と垂木が重なっている部分では、打ち込んだ時の感触が全く違ってきます。

職人や業者でなくても、違いがすぐに分かるほどです。

しかし、知識のない業者が、屋根カバー工法の工事において垂木ではなく、適当に野地板に固定してしまうこともあるようです。

天候が良ければ、釘やビスを野地板に固定したとしても問題は起こりません。

しかし、悪天候になったときの危険性は高くなります。


2019年の台風15号や台風19号で被害を受けた屋根のほとんどは、屋根カバー工法において、釘やビスを野地板のみに固定していたものでした。

野地板と垂木が重なった部分に打てば、雨漏りしにくくなるというメリットもあります。

この手間を惜しんで、工事をおこなった結果と言えそうです。

サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス)「屋根プロ110番」では必ず、野地板と垂木が重なっている部分にしっかりと屋根材を固定いたしますので、ご安心ください。

では、屋根の重要部分でもある垂木が傷んでしまったらどうするのでしょうか。


まずは屋根材を撤去し、防水紙、野地板を剥がすという、大がかりな工事になります。

ですが、垂木の交換、修繕することはできます。


基本的に屋根材は再利用できません(瓦はできます)。

ですので、屋根葺き替え工事においての下地工事ということになります。


瓦屋根のリフォームで瓦を再利用する場合は、さらに大規模な工事となり、コストもかかってきますので、垂木が損傷する前に、定期的な屋根のメンテナンスをおこなうことをおすすめします。



垂木が痛む2大要因

屋根の状態が正常であれば、垂木が損傷することはほとんどありません。


垂木が痛む要因は、屋根の劣化による、雨漏りと雪の重さです。


屋根が劣化し雨漏りが発生すれば、垂木にまでその水が入り込んでしまい腐食が起こります。


もし大雪により屋根の上に雪が積もれば、垂木が雪の重みで歪んだり、折れたりする危険性もあります。

雪が屋根に積もらないように、豪雪地帯では危険な雪下ろしをしています。


あまり雪が降らない地域では、屋根に雪止めが設置されている住宅もあります。


雪止めというのは、雪が屋根に積もったときに、雪の重みを受け止めるための柱が入った外壁の真上に設置しなければなりません。

ですから、屋根からの落雪を食い止めるといっても、屋根の真ん中と軒の近くに2段に雪止めを設置するのは、注意が必要です。


雪の重さは、新雪で1㎥あたりおよそ50~150kg、積もって固まった雪や粗目雪では最大で500kgにもなります。

重い屋根材の瓦の比ではありませんが、豪雪地帯の住宅ではバルコニーなどに使われる細い垂木(高さ45mm・幅45mm)で軒の出が約40cm、築14年以内の場合、雪下ろしをする目安は屋根の積雪100cmと言われています。


これが、築54年以上になると、60cmまで低下するそうです


*良好な状態で維持管理されている在来工法の住宅による

軒先の出約40cm・垂木サイズ4.5cm×4.5cm・垂木間隔45cm・根雪の深さが20cm以内の場合


この数値から見る限り、屋根の状態が良好なら、雪止めなどで屋根の一部分に重さが集中しなければ、それなりの重量にも耐えられるのではないでしょうか。


雪国でもなければ、危険を冒してまで屋根に上り、雪下ろしをする必要は無いといえます。



垂木が損傷したらどうなるの?

垂木は、屋根の傾斜を支えています。

ですから、垂木が損傷すると、屋根の斜面を支えられなくなります。


本来平らな斜面が変形し、盛り上がったりへこんだりしてしまうかもしれません。

雪が積もり、軒先に大きな圧力がかかれば、てこの原理で屋根の斜面が盛り上がってしまうのです。


雨漏りしていれば、垂木が腐食し、屋根の重みに耐えられずへこむことも考えられます。


かまぼこ屋根を除けば、屋根面の中で一部の勾配が変わることはありません。

勾配が変わると、雨水がスムーズに流れなくなるので雨漏りの原因にもなります。

また、屋根面が変形すると、防水紙にも負荷がかかり、破れたり損傷が出てしまうこともあります。


早急な補修が必要ですので、すぐにご相談ください。



垂木の修理方法

垂木の修理は、交換か補強です。


交換では、母屋などの同じ場所にふたたび、釘やビスを打ちますので、固定力に不安があり、あまりおこなわれていません。

ポピュラーなのは、「抱かせ」という補強方法です。


痛んだ垂木に、新しい垂木を添木して補強するものです。


木材を抱き合わることで補強するので「抱かせ」と言いますが、この方法は垂木以外にもよく使われる補強方法です。

職人は、屋根にのぼり、歩くことで、屋根材の下の野地板や垂木が損傷しているのかわかるといいます。


しかし、実際に痛んでいるのが、野地板なのか垂木まで痛んでいるのかまではわかりません。

小屋裏(天井裏)からは、垂木の状態も確認できます。


当社では、お客様のご要望があれば、小屋裏の点検も承ります。


「小屋裏の点検はいままでやったことがない」という方も多いようです。


点検はもちろん無料なので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

小屋裏への入口がない住宅もありますが、点検口を作ることできますのでご相談ください。(点検口=天井に切り込みを入れ、開閉可能な入口を作ります。)

点検口の作成は、有料となりますのでご了承ください。



まとめ


■垂木とは、棟から軒先まで屋根の斜面に垂らすように縦方向に設置する部材


■垂木の役割

  • 屋根の斜面を平らにする

  • 野地板や屋根材を固定する

  • 家全体の強度をアップさせる

■垂木のサイズは、使用する屋根材によって決められている


■垂木を設置する間隔は、455mmまたは303mmと決まっているので、目視しなくても屋根材を釘やビスで固定できる


■垂木の補修方法は、新しい垂木を既存の垂木に添え木して固定する、抱かせが一般的



サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス)「屋根プロ110番」では、小屋裏の点検も無料で承ります。

小屋裏から垂木を直接見ることで、垂木の状態をくわしく確認できます。

どうぞお気軽にご相談ください。



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「著者情報」

 関裕一 

東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット

​サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者

18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。

​塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。

お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。

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