目 次
■工事のきっかけを伺いました
足立区入谷のお客様より、雨漏りについてのご相談をいただきました。
きっかけは、軒天に見つけた染みだそうです。
だんだん染みが大きくなってきたので、雨漏りしていないか不安とのこと。
屋根の点検をおこなったところ、軒天に2箇所、シミが確認できました。
築40年、棟以外はメンテナンスをおこなったことが無いとのことで、屋根の劣化が激しく、今回は屋根葺き替え工事をご提案いたしました。
屋根の防水性を格段にアップさせる、三星ロアーニⅡという屋根材を使用します。
今回の工事の基本情報
施工内容:屋根葺き替え工事
使用材料:三星ロアーニⅡ
施工期間:9日間
築年数:40年
■点検で屋根の状態を確認
屋根は緩勾配によく使われる、瓦棒葺きでした。
継ぎ目がないので雨漏りしにくい屋根といわれていますが、定期的なメンテナンスはやはり必要です。
劣化により芯木が水が吸うと、腐食してしまいます。
瓦棒葺き屋根とは
一定間隔で、芯木と呼ばれる角材(瓦棒)が垂木に打ち付けらています。
その芯木に、金属板を巻き付けて釘で固定された屋根が、瓦棒葺きです。
トタン屋根ともいわれます。
お客様のお家は、芯木のある瓦棒葺きと芯木のない瓦棒葺き部分がありました。
増築したことがあるそうで、その時の施工かもしれませんが、詳細はわかりかねます。
屋根のてっぺんに取り付けられた棟板金がゆがんでいました。
棟板金は、屋根の内部に水が入らないようにかぶせている板金です。
棟板金を固定している釘は、抜けやすく劣化しやすい部位なのてメンテナンスは必須です。
軒天の染みが発生していた箇所の真上部分には、谷樋が取り付けられていました。
屋根面が、谷のようになっている部分です。
雨水を雨樋にスムーズに流す働きがあります。
谷樋をくわしく見てみると、変色している部分がありました。
雨水がスムーズに流れず、溜まってしまったため、黒い染みのようになったと思われます。
谷樋付近の芯木にも水が浸み込み、腐食してしまっていました。
触ってみるとぽろぽろと崩れてきます。
谷樋から雨樋に排水がスムーズにおこなわれず、軒先に水が溜まり、芯木の腐食につながってしまったようです。
下屋根の点検の様子。
下屋根は、玄関や1階部分に設置された屋根です。
下屋根に、サビが発生しています。
点検の結果、雨漏りの原因は、谷樋と軒先からの水の侵入とわかりました。
また下屋根にもサビが発生していることから、他の部分でも雨漏りしていることも考えられます。
築40年で屋根全体の劣化も見られるため、屋根の葺き替え工事がおすすめです。
■工事開始:既存の屋根材を撤去
まずは、今ある屋根材を撤去からはじめます。
芯木のない瓦棒葺きからです。
屋根材のあとは、防水紙や野地板を取り外します。
ゴミやホコリをしっかりと掃除し、きれいになったら、あらたな構造用合板を取り付けます。
使用した構造用合板は、厚さ12mmで、強度にも優れているのが特徴です。
つづいて防水紙を敷いていきます。
使用したのは、「タディスセルフ」です。
そして、軒先・水切りを設置します。
葺き替えは、屋根材だけでなく、防水紙や野地板の下地もすべて新しいものになりますので、屋根を一新することができます。
今回のように、築年数の経過した住宅には最適な工事といえるでしょう。
つづいて、芯木のある瓦棒葺きの撤去をおこないます。
左の画像をご覧ください。
芯木の端部分が変色しているのがおわかりいただけると思います。
水を吸い込み腐食すると、このように黒く変色してしまいます。
■防水紙を敷設
芯木のある瓦棒葺き部分も同様におこないます。
屋根材の撤去のあと、構造用合板を取り付け、防水紙を敷いていきます。
軒先・水切りの設置も完了したら、谷樋を取り付け、釘でしっかりと固定します。
また、釘穴からの水の侵入を防ぐために、釘頭にはコーキングをおこない、雨仕舞を仕上げました。
■三星ロアーニⅡで葺き替え
いよいよ、新たな屋根材での葺き替えです。
使用したのは、田島ルーフィングの「三星ロアーニⅡ」です。
防水性・耐久性に優れた屋根材です。
軽量なのも特徴で、加工性も抜群。
複雑な形状の屋根や、今回の住宅のように緩い勾配の屋根にも最適です。
カラーは、ブラック・ブラウン・グリーンの3色展開となっています。
お客様は、今の屋根と似たカラーがいいとのことで、グリーンをお選びいただきました。
上の屋根の葺き替えが完了したら、下屋根もおこなっていきます。
下屋根は、外壁との取り合い部分があり、雨仕舞も慎重に作業しなければならないので、工事時間もかかります。
外壁との取り合い部分は、防水紙を立ち上げ、雨押え板金を設置します。
上端にコーキングをおこない、水の侵入を完全にシャットアウトしましょう。
ガルバリウム鋼板の棟板金を取り付けます。
棟板金は貫板で固定しますが、貫板は樹脂製のものを使用しています。
以前は木材を使用していましたが、劣化により腐食する可能性がありました。
樹脂製ですと、腐食の心配もありません。
SUSビスでしっかり固定しています。
■工事が完了しました
「三星ロアーニⅡ」で葺き替えが完了した、屋根の様子。
ドローンで撮影し、生まれ変わった屋根をお客様にもご覧いただきました。
美しく重厚感のある、グリーンカラーが映えていますね。
今回使用した「三星ロアーニⅡ」は表面の天然砕石仕上げで、遮音性・遮熱性にも優れています。
価格は高めですが、クオリティの高さ、耐久性を考えると、コスパの良い屋根材といえるのではないでしょうか。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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