目 次
■工事のきっかけを伺いました
足立区本木のお客様より、雨漏りについてのご相談をいただきました。
数年前に、塗装メンテナンスをおこなったのだが、雨漏りしているとのことでした。
すぐに点検に伺い、詳しく調査したところ、屋根の縁切り不足による雨漏りであることがわかりました。
塗装メンテナンスをおこなっている屋根ですが、雨漏りが発生しているということは、下地への損傷も考えられます。
今回は、屋根カバー工法をおこない、屋根をリフォームして、雨漏りを完全に解決いたします。
今回の工事の基本情報
施工内容:屋根カバー工法・軒天塗装工事
使用材料:屋根材:スーパーガルテクト・軒天塗装:水性ケンエース
施工期間:7日間
■点検で雨漏り箇所を特定
点検時のお客様のお家の、外観の様子。
2階建てで、屋根はスレート屋根でした。
数年前に塗装メンテナンスをおこなっているということで、きれいな外観です。
点検時の室内の様子。
天井にカビが発生し、天井のクロスもたわみ、剥がれてきています。
ほかのお部屋でも、雨染みやカビのような黒ずみが見られました。
天井に雨染みがあるということは、屋根からの雨漏りの可能性が高く、小屋裏にも雨水が入り込んでいると考えらえます。
雨漏りによる、カビの発生の危険性
梅雨時期など湿気の多い季節は、カビが発生しやすくなります。
カビの発生は、建物の劣化を早めるだけでなく、住んでいる方の健康にも悪影響を及ぼします。
カビが発生してしまう前に、雨漏りの修理をおこなうことも大切です。
屋根に上っての点検の様子。
スレート屋根は一見したところ、損傷などは見られませんでした。
棟板金も損傷はありません。
棟板金のつなぎ目部分の、コーキング処理もしっかりされていました。
防水紙の役割について詳しく!
雨は、屋根で防ぐものだと思われがちですが、屋根材の下地にも大切な防水の役割があります。
屋根材だけで防ぎきれなかった雨水が、建物内部へ侵入するのを防水紙が防いでいます。
ですので、防水紙が損傷していると、屋根の塗装をおこなっても、雨水が入り込んできてしまい、雨漏りの解決にはなりません。
防水紙が劣化してる場合は、防水紙の交換をおこなう必要があります。
■雨漏りの原因は縁切り不足!縁切りってなに?
屋根材の、重なり部分の状態を確認しました。
ここで、縁切りがされていないことがわかりました。
タスペーサーが設置されている箇所もありましたが、設置個所が不足しています。
縁切り不足が、今回の雨漏りの原因であることがわかりました。
縁切りってなに?縁切りについて詳しく!
屋根の塗装をおこなうとき、屋根材の重なり部分に塗料が入り込むと、重なり部分が塞がった状態になります。
縁切りとは、この塞がった状態を解消するために、塗膜をカットして隙間を作ることです。
隙間がなく塞がったままですと、水の通り道が確保できず、屋根の内部に雨水が入り込んでしまいます。
縁切りは、雨水の排水のために、大変重要な工程です。
縁切りには、
塗膜をカッターで切る方法
タスペーサーという部材を設置する方法
があります。
タスペーサーは差し込むだけで、隙間を確保できる縁切り用部材です。
カッターで切るよりも、手間がかからないので、現在の縁切り作業では主流となっています。
軒天の様子。
軒天の塗膜が剥がれてしまっていました。
点検の結果を、お客様にご報告いたしました。
縁切り不足による雨漏りの場合、縁切りをおこなっただけでは、雨漏りは解決しないかもしれません。
まずは、屋根の下地である、防水紙の状態を確認しなければいけません。
防水紙が劣化している場合は、縁切りをおこなっても雨漏りは解消しないので、屋根の工事が必要です。
今回は、確実に雨漏りを解決したいというお客様のご要望もあり、防水紙の交換を含めた屋根カバー工法と、塗膜が剥がれていた軒天の塗装工事をご提案いたしました。
屋根カバー工法は、屋根材をすべて取り替える「屋根の葺き替え工事」と違い、既存の屋根に重ねる工法です。
屋根材の撤去の手間がなく、工期も短く、コストを抑えることができるというメリットがあります。
■工事開始:足場の架設
足場の架設の様子。
安全に効率良く、工事をおこなうために、足場を架設していきます。
工事中に、降雨があっても雨水が入り込まないように、ブルーシートと土嚢による養生もおこないました。
■スーパーガルテクトで、屋根カバー工法
棟板金の撤去の様子。
屋根カバー工法は、古い屋根材の上にあらたな屋根材を重ね貼りする工法ですが、棟板金はカバー工法をおこなう際に干渉してしまいますので、撤去しています。
棟板金を固定するため土台となる、貫板も同時に撤去しました。
防水紙とあらたな屋根材を取り付けている様子。
軒先から棟へと取り付けていくことで、雨水が入り込むのを防ぎます。
ビスで、しっかりと固定しました。
使用した屋根材は、アイジー工業の「スーパーガルテクト」です。
遮熱性・断熱性に優れた、金属屋根材です。
超高耐久ガルバにより、サビに強く、耐久性の高い屋根材として人気があります。
塗膜15年・赤さび20年・穴あき25年の、長期保証が付いているのも魅力です。
スーパーガルテクトは、屋根材と断熱材が一体になった屋根材です。
「雨音がうるさい」「暑さ・寒さに弱い」という、従来の金属屋根のデメリットもありません。
夏は涼しく、冬は暖かく、一年中、快適に過ごせます。
また、屋根カバー工法は、既存の屋根の上に、あらたな屋根材を重ねるので、屋根の強度もアップします。
棟板金を取り付けている様子。
土台となる貫板を設置し、棟板金を貫板に固定します。
屋根材の重なり部分や、つなぎ目部分に、コーキングボンドを塗り、固定力を高めておきます。
防水効果も上がりますよ。
屋根と外壁の取り合い部分の作業の様子。
この取り合い部分は、雨水が入り込みやすい箇所なので、しっかりとした防水処理が必要です。
マスキングテープで養生した後、コーキングボンドを塗り、防水処理をおこないました。
これで、屋根カバー工法が完了です。
■水性ケンエースで、軒天の塗装工事
つづいて、塗膜が剥がれていた、軒天の補修工事をおこないます。
まずは、剥がれている塗膜を取り除く、下処理をおこないます。
剥がれた塗膜をきれいに取り除かないと、塗装をおこなっても、すぐに古い塗膜と一緒にあらたな塗膜も剥がれてしまいますので、しっかりと取り除きます。
皮スキを使用して、取り除きました。
皮スキは木製の柄に金属のヘラが付いた道具で、塗膜を剥がしたり、ケレン作業でサビをこそげ落とすのに使われます。
下処理の後、養生シートを全体に取り付けます。
塗装をおこなわない他の部分への、飛び散りやはみ出しを防ぐためのものなので、しっかりとていねいに養生をすることが大切です。
軒天の塗装に使用したのは、日本ペイントの「水性ケンエース」です。
耐水性に優れた、水性つや消し塗料です。
ヤニ・シミ止め効果が高いので、シミができやすい軒天の塗装にも最適です。
つや消しタイプで、落ち着いた雰囲気に仕上がります。
ローラー・ハケで塗っていきます。
ムラのないきれいな仕上がりをご覧ください。
■工事が完了しました
屋根カバー工法・軒天塗装工事がすべて完了しました。
「これで雨漏りしなくなり、ホッとしました。」
と、お客様にもご安心いただきました。
今回のように、縁切り不足による、雨漏りのご相談も多くいただきます。
雨漏り調査と修理なら、屋根プロ110番の雨漏り駆けつけ隊におまかせください。
すぐに点検に伺い、お客様のお家の状態に最適な雨漏り修理をご提案いたします。
当社では、手指消毒・マスク着用・お客様とのソーシャルディスタンスなど、新型コロナウィルス対策もしっかりとおこなっています。
ご安心くださいませ。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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