雨漏りを防ぐために重要な、”雨仕舞”をご存じですか?
普段生活をしていて目にすることはなく、あまり馴染みのない雨仕舞ですが、お家を長持ちさせるためにも、ぜひ知っておきたい住宅のメカニズムです。
今回は、雨仕舞について徹底解説していきます。
目 次
雨仕舞ってなに?
まずは、雨仕舞とはどんな役割があるか、ご紹介します。
読み方は”あまじまい”と読みます。
雨仕舞は、住宅を雨漏りから守るためになくてはならないものです。
雨水が、屋根やベランダに溜まったままだったり、逆流すると、雨漏りの原因ともなります。
雨仕舞を施すことで、雨水をスムーズに排水することができます。
雨仕舞の役割
住宅に雨水が入らないようにする
雨水が残らないようにしっかりを排水する
雨仕舞は防水とは違う?
住宅において、雨漏りを防ぐということで、雨仕舞と防水は同じ効能がありますが、具体的な役割は違います。
雨仕舞は雨水を流し、防水は雨水が入り込むのを防ぎます。
雨仕舞は、雨水の通り道をつくるという役割です。
例えば、住宅の傾斜部分やつなぎ目部分も、雨水がスムーズに流れるルートをつくります。
一方、防水は雨水が住宅に入り込まないように加工することです。
雨仕舞と防水は、基本的な違いがありますが、どちらも雨漏りを防ぐ重要なものです。
雨仕舞の仕組みをチェック
ここでは、雨仕舞の仕組みを見ていきましょう。
雨仕舞は、3つの部材で構成されています。
防水シート
水切り金具
コーキング
防水シートを張り、水切り金具を被せ、隙間にコーキングを充填します。
雨仕舞に必須!水切り金具の種類
雨仕舞に使われる水切り金具とは、雨水を流すための板金です。
使用される部位によって、さまざまな形に加工されます。
おもに5種類あります。
水切り金具の種類
棟包み屋根役物
ケラバ水切り
軒先水切り
雨押え水切り
谷桶
それぞれの水切り金具について、くわしく見ていきましょう。
棟包み屋根役物
棟とは、屋根のてっぺんですね。
棟包み屋根役物は、この屋根の棟部分に設置されます。
ケラバ水切り
ケラバとは、外壁から出っ張っている屋根部分のうち、雨樋が付いていない部分。
ケラバ水切りは、ケラバ部分に設置されます。
軒先水切り
雨や雪、日差しを遮ることができ、建物を守る役割がある軒先。
建物より突き出た、軒の先端です。
軒先水切りは、軒先に設置し、雨漏りを防ぎます。
雨押え水切り
屋根や壁の切り替え部や接合部を雨押え(あまおさえ)といいます。
雨押え水切りは、この雨押え部分に設置し、室内に雨が入り込まないようにします。
谷桶
屋根面のつなぎ目で、下向きの傾斜のため、水が溜まりやすい箇所が谷です。
谷桶は、この谷部分に設置し、雨水を流れやすくします。
雨仕舞のメンテナンス、確認すべき4カ所
雨漏りを防ぎ、お家を長持ちさせるためにも、雨仕舞を定期的に確認し、メンテナンスをすることが重要です。
確認するポイントは4つあります。
雨仕舞の確認ポイント
屋根と外壁のつなぎ目
屋根の谷
ベランダ
天窓
それぞれのチェックポイントを押さえておきましょう。
屋根と外壁のつなぎ目
雨押えともいわれる、屋根や壁の切り替え部や接合部は、雨水が多く流れ、雨仕舞が劣化しやすい部分です。
防水シートや水切り金具に、不具合が発生していないかチェックしてください。
屋根の谷
屋根の谷は、下向きの傾斜なので、雨水の流れ道となり雨水が溜まりやすい箇所でもあります。
水切り金具が、しっかり設置されているか確認してください。
ベランダ
ベランダのチェックポイントは、外壁とのつなぎ目です。
ベランダでは、外壁とのつなぎ目に雨水が溜まりやすいので、特に注意が必要です。
雨漏りの有無、雨仕舞の劣化などを確認してください。
天窓
天窓もつなぎ目に注意が必要です。
屋根とのつなぎ目に雨水が溜まりやすいので、定期的な点検をおこないましょう。
防水シートが劣化していないか、雨仕舞がしっかり役目を果たしているか確認してください。
雨仕舞を設置しても、雨漏りが発生してしまう原因とは?
雨仕舞を設置している場合でも、雨漏りが発生してしまうことがあります。
雨漏り原因
雨仕舞自体の劣化
雨仕舞の施工不良による不具合
自然災害による被害
雨仕舞の劣化
雨仕舞は劣化します。
劣化したままですと、雨漏りが発生してしまうことも…。
防水シート・水切り金具・コーキング、それぞれ定期的なメンテナンスをおこないましょう。
雨仕舞の施工不良による不具合
しっかりとした施工なら起こらない不具合で、雨漏りを引き起こすこともあります。
施工不良で一番多いのは、防水シートの張り間違えです。
防水シートは、下から上へと張っていくものです。
下から張ることで、防水シートのつなぎ目が下向きになりますので、雨水が入り込まなくなります。
張り方を間違えて、防水シートを上から張ってしまいますと、つなぎ目が上になります。
つなぎ目が上になると、雨水が室内に入り込んでしまい、雨漏りが発生します。
自然災害による被害
台風や地震、大雨などの自然災害による、雨仕舞の損傷もあります。
強風などで水切り金具が損傷し、雨仕舞の機能が失われることで、雨水が溜まってしまい、雨漏りが発生します。
雨漏りを防ぐ大切な雨仕舞!メンテナンスもお忘れなく
いかがでしたか。
雨仕舞について、くわしく解説してきました。
雨仕舞が機能しなければ、雨漏りを引き起こしてしまう危険性もあります。
雨仕舞は雨漏りからお家を守る大切なメカニズムであることが、ご理解いただけたでしょうか。
また、住宅の他の部分と同様に雨仕舞も劣化しますので、メンテナンスは欠かせません。
定期的に点検することで、雨漏りを防ぎ、安心してお家に住み続けることができるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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「著者情報」
関裕一
東京都足立区出身 1級外壁・屋根調査士・ドローンパイロット
サンセイホーム(株式会社三誠ホームサービス) 最高技術責任者
18歳から塗装職人として2.250件以上の施工に携わる。
塗装業界の歪んだ構造を塗り替えるべく、奇跡の「新時代塗装」倶楽部を主催している。
お家を長く保つアドバイスを、分かりやすくお伝えします。
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